【修了者紹介】ひとりでも多く、情報を必要としている人に届けたい

 

ファシリテーター養成研修 修了者紹介

 

レジリエンスではファシリテーター養成研修を2007年より開催しています。
現在(2014年12月末)までに、北海道から沖縄まで、述べ1036人の方々が、6日間の研修を修了されています。

 

第三弾は、北関東に在住のYさんにお話を伺いました。

 

インタビュー日:2015年2月
インタビュアー:栄田千春


 

『ひとりでも多く、情報を必要としている人に届けたい』

 

北関東在住 Yさん 2007年東京研修にご参加。

 

レジリエンス(以下 R):こんにちは。今日は長時間の研修の後でもあり、またご友人の方と会うお約束があるんですよね。お時間のない中、時間を割いていただいてありがとうございます。

 

Yさん(以下 Y):全然大丈夫ですよ。若い頃に勤めていた会社の先輩と会うことになったんです!

 

R:ずっとおつきあいが続いているって、素敵ですね。
さて、では早速インタビューに入らせていただきたいのですが、今、どのような形でお仕事、もしくは活動をされていらっしゃいますか?

 

Y:民間団体で相談員として働いています。女性や子どもへの暴力の相談や支援活動をしたり、啓発に向けた講座や研修でお話ししたり、ピアサポートグループのファシリテーターなどもしています。

 

R:今回も、ファシリテーター養成研修に2度目のご参加をいただいていますが、そもそも一番最初にファシリテーター養成研修に参加されたきっかけは何だったんでしょうか。

 

Y:配偶者暴力相談支援センターの相談員をしていた時に、こころのケア講座というのがあると知りました。ある団体の研修に参加した時に中島さんの話を聞いて、チラシを見たのだと思います。ちょうど、支援の現場で働く中で、相談者への支援に何か有効なものはないかな、支援者にとっても支援の学びになるものはないかな、と模索していた時でした。

 

R:なるほど、もう少し詳しく教えていただいてもいいですか?

 

Y:配暴センター(配偶者暴力相談支援センター)では、電話や面接などで相談に応じるのですが、1人の☆さん(注:被害者の方をレジリエンスでは☆(ほし)さんと呼んでいます)に長期的に関わるのは難しい状況にあるんですね。

 

相談に来られた方がご自分の「生きにくい感覚」を理解して、自分に起きていることを知り、自分らしい生き方を求めていいんだと整理され自分の力を取り戻されていくには、そして安全で安心な生活を得たあとも傷ついた心身の回復をはかりながら生活していくには、たくさんの情報と時間、長期的な支援が必要だと思うのです。

 

相談には、Bさん(加害者)と婚姻関係にあったり同居中だったり、危機的な状況にあったり、すでに別居や離婚をしたりして離れた方であったりと、さまざまな状況の☆さんが来られます。暴力の状況に応じて面接相談の中で心理支援をしたり、本や講座の紹介などをしていましたが、いろんな状況の☆さんが力を取り戻し回復していく支えになる何か良いツールはないかなと探していたんです。

 

purple-flowers

 

R:それで、チラシを見てレジリエンスの「こころのケア講座」に来てくださったんですね。

 

Y:はい。思い切って、仕事の後に東京ウィメンズプラザの夜の回の講座に参加したんです。

 

R:まだウィメンズプラザでおこなっていた頃ですから、もう10年くらい前ですね。

 

Y:一度参加してみたら、参加しやすくて、何か質問されて「答えなくてはいけない」というプレッシャーもなく、選択や決定を迫られることもない。必要な情報がきちんと用意され、参加している人が大切にされているというのが感じられて、これはぜひ☆さんに伝えたい講座だと思いました。

 

相談機関に行くということはとてもハードルが高い印象があると思うんですが、この講座では、尊重されながら自分に必要なたくさんの情報が得られ、自分のペースで状況や気持ちを振り返ることができると感じました。相談が必要な人にとっては相談につながりやすくなるし、相談と並行して受けられたらとても力になると思いました。

 

R:「こころのケア講座」がどんなものか実感していただいて、この講座をおこなうためにファシリテーター養成研修にご参加いただいたのですね。研修後、講座を開いたり、内容を相談機関の中で使ったりしていただいているのでしょうか。

 

Y:民間団体でDV被害当事者の方に12のテーマの中からいくつかを選んで講座をしたり、当事者のグループで部分的にお話したりしてきました。また、相談の際に、その方と相手との間に起きていることを話したり、ご本人やお子さんへの影響を説明するときに使ったりしていました。

 

R:情報をお伝えしていく中で、相談に来られる方や、自助グループなどに参加される方々のご様子に変化などはありますか?

 

Y:相談に来られる方は、暴力の影響で集中したり判断する力などが奪われ混乱していることも多いのですが、相談を重ねながら、講座やグループに参加された方が「自分の経験と同じようなエピソードを聞いて、皆にも同じことが起きていて、私ひとりだけじゃないんだと思えた」と話してくださったり、面接の際に図を描きながら説明した時に「今までずっとわからなかった自分の状況がとてもよく理解できた」と感想をいただいたりすることも多いです。「次に踏み出すために背中を押してもらえた」と言ってくださる方もいます。

 

R:活動にあたって工夫されたことや、うまくいったこと、困ったこと、課題などはありますか?

 

Y:DVの被害当事者の方を対象にお話ししたり、情報を伝えたりしてきましたが、安全を得られたばかりの方や混乱のさなかにいる方などもいましたので、その方たちの状況に合わせて無理のない内容や量に配慮をするようにしました。また、今必要としていると思われるテーマを選んで組み合わせたりもしました。特に、アートの時間は、ゆっくり取れるようにしました。

 

気をつけたことでは、例えば、境界線のテーマでアサーションを扱うところでは、「自分がアサーティブでないから加害者を刺激してしまった、自分に問題があった」と誤解されないよう、説明するようにしたりしました。

 

R:今後の活動のご予定や展開などを教えて下さい。

 

Y:実は、県の男女共同参画センターから声をかけていただいて、2015年5月から講座をおこなうことになったんです。担当者の方が講座の内容を知り、その必要性を理解していただいていることでもあると嬉しく思いました。今までは定期的に参加者を集めて講座として開催することはできなかったのですが、たくさんの女性に届ける機会を得たことを大事にしていきたいと思っています。

 

☆さんの周辺にも、子どもや親など家族や様々な人がいて、暴力の影響を受けていると思います。☆さん自身「自分はDVを受けている」と自覚されている人は少ないかもしれません。情報が必要な人に届けられる方法が必要だと感じています。☆さんはもちろん、周囲にいる人にも、ひとりでも多くの方に情報を届ける一助になればと思っています。

 

R:県の担当者の方が、レジリエンスが四谷でおこなっている講座にもご参加くださったんです。とても熱心に取り組んでいただいていることを私たちも感謝しています。
では最後に、この記事を読んでくださっている方にメッセージをお願いします。

 

Y:この講座の内容は支援者にとっても、DVや暴力の影響などを理解するためにとても良いものだと思います。病院や学校、行政や司法関係など、さまざまな場所に☆さんが来られる可能性があります。そうした場所も、一番情報を手渡したい人、でも届きにくい人に届けられる場所なのではないかな、と思います。DVや暴力について理解している人がさまざまなところで増えていったら、暴力のない安全な社会に近づいていくと思います。☆さんにも支援に関わる人にも受けていただきたい講座です。

 

女性は、特に他者のケアを優先することを求められがちだと思います。私自身、支援者としても自分を後回しにしがちだな、と感じることが多いように思います。この講座の内容をお伝えしながら、自分に時間を使う、自分に焦点をあてる、ということの大切さを感じますし、私自身もエンパワーされていると思います。

 

講座は、今は私が一人でおこなっているのですが、一緒にいる仲間がいると学びあいながらできるのでいいなと思います。同じ時期に研修を受けた他県の修了者の方と連絡をとりあっていて、今度講座を見学させていただく予定です。それぞれは一人でも、つながったり情報交換などをしていけるのは大切だと思っています。

 

R:どうもありがとうございました。新しく始まる講座に、一人でも多くの方が参加してくださるといいですね。またお話を聞かせてください。

 

orange-flowers